質問票を活用しましょう

4月になって新学期を迎えたせいか、ジェックス英日契約書翻訳の通信教育B級を新たに受講する方が増えてきました。ご存知のようにジェックスの通信教育では、各回の解答と解説には質問票で課題に関する質問を受け付けています。しかし、残念ながら現在質問票を送ってくる受講生は全体の1割から2割にしかすぎません。せっかくのチャンスを無駄にすることはありません。受講生の皆さんにはこの質問票を十分に活用して、英文契約書翻訳の学習に役立てていただきたいと思います。今回は、質問票活用のポイントについて説明いたします。

質問の中には、原文をそのまま指定して「ここを訳してください」といってくる人がいますが、こういった質問(というか要望)には、そのままお答えしていません。少なくとも自分なりの訳とどこが分からないのかをはっきりさせて質問してください。できれば解答・解説をしっかり復習し、自分でもしっかり調べて、それでも分からなかった部分を質問するのが理想ですが、そこまで肩肘張って考える必要もないでしょう。ただし、少なくとも自分はこう思うという、自分の意見をしっかりと述べてください。

私が添削するときには、紙面の関係であまり詳しいコメントを加えられない場合があります。また、「辞書で調べておいてください」とか「法律用語辞典で確認しておいてください」といったコメントをよくします。これは、決して答えるのが面倒くさいからではなく(本当です)、詳しく説明するよりもまず受講生が自分で調べることが大事だと考えているからです。しかし、こういった場合、調べても調べ切れなかったり、調べているうちに新たに疑問が出てきたりということがあると思います。そういったときにはぜひ質問票を使ってください。調べているうちに関連して出てきた疑問について質問していただいてかまいません。このように、自分が調べた内容を再確認するために質問票を使うのも一つの方法です。

私もJEXの通信教育を受講していたころ(私も受講生でした)、よく質問票を提出していました。質問というより、質問票を使って添削に文句をいっていたといった方が近いかもしれません。今は逆に添削をする立場になりましたが、そのような添削者を困らせる質問には残念ながら(幸いなことに?)あまり出会いません。それでも質問票を見るときは、どんな質問が来るのかといつもドキドキしています。楽しみでもあり、不安でもありといった感じです。他の先生方ともよく話すのですが、優秀な人ほどよく質問をし、かつ、鋭い質問をしてきます。皆さんも一度添削者に挑戦するような鋭い質問を考えてみてください。そのためにはしっかりと調べて、自分の考えをしっかりした根拠をもって説明できなければいけません。添削者が降参するような素晴らしい質問を送ってください。皆さんの挑戦を待っています。
(執筆:吉野弘人)