米国の会社表示

日本の企業形態で会社と称するものに、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社があります。これらの企業は、必ず名称(たとえば「ジェックス」)の前後に会社形態を表示しなければなりません(たとえば「有限会社ジェックス」)。このルールは米国でも同じですが、米国の会社形態には株式会社(stock corporation)しかありません。しかも、会社法は州法ですから、州法によりcorporationを表示するものに差異があります。

会社法としてよく引用されるデラウェア州法102条をみると定款(Certificate of Incorporation。なお、デラウェア州はArticles of Incorporationを使用していません)に、株式会社の商号にはassociation, company, corporation, club, foundation, fund, incorporated, institute, society, union, syndicate, or limited, or one of the abbreviation(co., corp., inc., ltd.)などを付すことを求めています。

一方、ニューヨーク州法3条は、会社の表示としてcorporation, incorporated, or limited or an abbreviation of one of such words(corp., inc., ltd.)を付さなければならないとしています。このように米国では各州法により会社の名称表示に差異があり、ある州でassociationを付して会社設立の届出をしたところ、州長官が第三者にはassociationはpartnershipと区別がつけにくいとして設立免許状(Certificate of Incorporation)を出さなかったというケースがあります。

デラウェア州のようなやや歴史のある会社法では、association, club, foundationなどを付して届出しても受理されるかもしれませんが、ほとんどの州では株式会社はcorporation, incorporated, limitedを求めています。特に気をつけるのはcompanyです。たとえば、個人商店などでRobert & Co.といった商号を付けることがありますが、このcompanyは「Robertとその仲間」というような意味を表し、必ずしも株式会社を表示しているとは限らないのです。

従って、英文契約書にcompanyが表示されているときは、株式会社と訳すと問題が生じることがあります(”Co., Ltd.”はcompany limited by sharesの略で、株式会社を表します)ので、注意して訳しましょう。
(執筆:通学担当講師)